実家の大転職。

Before

DATA

種別 戸建
タイプ Marutto
建築年 1994年
専有面積 139.59㎡

STORY

実家を相続した姉から「家を1棟貸しのキッチンスタジオにしたい」と相談を受け、このプロジェクトがスタート。仙台市内、東北圏内においても「キッチンスタジオ」はほとんどなく、1棟貸しが出来るスタジオは全国的に見ても非常に稀有な存在である。それを私の実家で実現するというのだ。

スタジオにするため、クリアしなければならない課題は大きく3つ、「高い天井高」「大きな空間」「ふんだんに入る自然光」である。まず、天井高2,400mmという一般的な家を、鉄骨や2階の床根太を見せる「天井現し」にし2,700mmに。玄関位置を変えて、元はリビングと和室だった場所をつなぎ、22畳の広い空間を確保。鉄骨や根太を白く塗装し、広くて真っ白なスタジオ空間にすることができた。そして、サッシは2,100mmから2,400mmへ、小さな窓も1間幅の2,400mmのハイサッシにして開放感をプラス。自然光の確保が可能となった。外壁にはモダンな印象のガルバリウム鋼板を採用。外構も一新したことで新築のように輝いている。きっと天国の両親も喜んでいるだろう。

人が生きるための場所から、カメラマンやモデル、クリエイター達が活躍するスタジオへと大変身を遂げた実家。昔、私が両親のためにプランニングしたこの家は、私自身の手でリノベーションしたことで新たな音、軽快なシャッター音がこだまする、人が集い社会に活かされる場所に生まれ変わった。

Before STORY

私の実家は、当時ハウスメーカー勤務だった私(村上)が29年前にプランニングして建てた家。そこは母が奏でる琴の音、家族の笑い声、喧嘩する声etc.……沢山の音であふれていた。しかし、両親が他界した後は、細切れに作られた余っている部屋の大半を倉庫の様に使っていた。外壁や外構も長い年月を経て老朽化。鮮やかさを失い、古くなったこの家に対して、私の姉は「何か違う活用方法は無いのか」と模索していたのだった。そしてこの家自身も、新しい「音」を探していたのかもしれない。